月瀬りこ (脚本家 • 小説家) 第30回フジテレビヤングシナリオ大賞佳作受賞 「笑顔のカタチ」/ 「New Film Makers Los Angeles」🇺🇸『フローレンスは眠る』2018年度年間最優秀長編作品賞受賞(共同脚本)/ 電子書籍小説 「コロモガエ」などAmazonほかで配信中 / 舞台脚本 / ホラーDVD/オムニバス映画ほか/ WebCMプロット/ 企業PJ / PVシナリオ/コピー/ 取材ライターほか

月瀬文庫

わが家での日々。お父さんシリーズエッセイ

2018-01-14から1日間の記事一覧

秘宝館の娘

テーマ:お父さんシリーズ2017-07-04 12:14:10 私は 「秘宝館の娘 」である。 実家が突然、秘宝館になったのだ。 きっかけは父のガンからの生還。彼は生から性へのさらなる飛躍をしたのである。 それは突然に訪れた。日に日に家の中に、いわゆる「開かずの間…

父、暴走。恐怖の回転ずし

テーマ:お父さんシリーズ 父は食べるのが大好きである。 昔から、色んな食べ物屋さんに連れていってくれた。しかしそのどこもが、 恐ろしく汚いが美味しいというホルモン屋さんだったり、カエル専門料理の店であったり、帰りに無理心中するんじゃないかと心…

父、激走。女と耳について語る

テーマ:お父さんシリーズ うちの父にタブーという言葉はない。 大晦日の昼間だった。 慌ただしく妹と一緒に、母のお節料理づくりを手伝っていた時である。成人した女が三人寄ってワイワイと料理をしている横で、様子を覗きにきた父が、突然、妹に言った。 …

父、泥酔。母に規制線を張られる

テーマ:お父さんシリーズ 父は酒と煙草と人間をこよなく愛する男である。 しかし、愛しすぎて失敗することが多々あるわけで…。 ある朝のこと、父の部屋の入り口付近に、ビニールの荷物ヒモが張りめぐらされていた。 刑事ドラマなどで「Keep out」と書かれて…

父、お涙頂戴。覗きを裁かれる

テーマ:お父さんシリーズ 父は、非日常が大好きである。 もめ事が大好きである…とも思う。 妹と私が「あー。疲れた。人生に疲れた」と、実家に居候した時である。 母は「好きにしなさい」と言い放ち、父は「困ったもんよのぉ~!」と…案の上、大喜びした。 …

父、暴走。演歌歌手になる

テーマ:お父さんシリーズ思いついたら即実行。父に「ためらい」という言葉はない。 ある日、「お父さんは歌手になろうかなぁ」と言い出した。なろうかなぁ=なる…である。 母は、「どうぞ」と知らんぷり。子どもたちも知らんぷり。 言い出したときにはすで…

父、人助け。松の実と愛人さん

テーマ:お父さんシリーズ小学生の頃の話。 よくお客さんの来る家だった。 田舎のせいもあって、いつも応接間にはお客さんがいて、知らない人たちが食卓にいることもしょっ中だった。 今もそれは変わりなく、知らない人が知らないうちに一緒に座って紅白歌合…

父、暴走して、母に捨てられる

テーマ:お父さんシリーズ 父の電話は3回に1回しか出ない。 とにかく、面倒なことが多い上に、くだらないことばかりだからである。 たとえば、天気について永遠と語る… たとえば、今、テレビで面白い番組をやっているからすぐ観なさいと言う。 たとえば、自…

父、暴走。踊る好々爺

お父さんシリーズ 「父、暴走。踊る好々爺」 数年前の夏のこと…。 毎年 お盆になると、父は 子どもたちが生まれ育った家に戻ってくるのをとても楽しみにしている。 数日前から 私たちが好きな食べ物をたくさん用意して首を長くして待っていてくれるのだ。 ハ…

父、猿にまわされる

もう二十数年前になるだろうか。 なにを思ったのか、父がとつぜん… 「猿かわいいのぉ」 と、つぶやいた。 危ういながれを感知する力をもつことは我が家では必須だった。 「そうでもないとおもう」 と、家族は即座に淡々と否定した。 日○猿軍団やムツゴロウさ…

父、暴走。骨董にはまる

凝り性の父。焚き付けられたら勢いよく炎を上げる。 そう…燃え尽きるまで。 きっかけは父の実家である母屋を片付けていたときだった。脱穀機やら、蓑笠やら、千歯こきやらが続々と出てきたことがあった。もう使われていないものだったが、祖父母が納屋にしま…

父、暴走。庭に温泉を掘る

言い出したら絶対にあとに引かない父。ある日、突然言い出した。 「庭に温泉を掘る」 庭に温泉…σ( ̄^ ̄)? 耳に入ってきた言葉がまったく理解不能。 何が庭に温泉だ。 いくら県庁所在地が有名な温泉どころといえど、掘ったからってすぐに温泉なんかでるもん…

父、暴走。お山の大将になる

モノマネが大好きな父。 おハコは 赤フンを身に付け、仕込み刀を振り回す…アレなのだが、時々、浮気する。 ある五月の晴れた日曜の朝…。父は「ぼ、ぼくは、お、お、お散歩に行きたいんだなぁ…」と、突如ニヤニヤとしはじめた。 「出たよ…」 家族は当たり前の…

父、暴走。ときどき死にかける

大騒ぎが日常化している父。 あるとき、3度死にかけたと大騒ぎしていたことがある。 どうせ大したことはないだろうと思いながらも、暇だったので聞いてみることにした。 3度というのはどれも飛行機内のことであった。1度目は、離陸走行中にドアがいきなりバ…

父、暴走。夜鳴きうどんに走る

私が確か高校生の頃。 あるブームが我が家に巻き起こった。 タイトルの如く「夜鳴きウドン」 屋台のおウドン屋さんである。 たまたま、我が家の前を通りかかった夜鳴きウドンの屋台の車に父が声をかけ、食べたのがコトの初まりだった。 冬の寒い夜だったこと…

父、暴走。しきたりをつくる

とある年のお正月の話。 毎年、お正月に父は着物を着るのが習慣になっていた。その年もわりと粋に着物を着こなしていた父。しかし「その年」は少しだけ違った。 前年に結婚した兄嫁が初めて我が家にやって来るお正月だったのだ。父はなんだが様子が落ち着か…

父、暴走。悪夢の個人懇談

中学三年生の時の話。 高校受験も押し迫り、生徒もソワソワ、先生もソワソワ。 お決まりの 個人懇談が行われることになった。 込み入った話もするのだろう。当事者抜きの先生と親の懇談である。 通常は母が対応していたのだが、その時はどうしても何かの用事…